選ぶ・決める!大学・専門学校情報サイト「ガクセイト」
ガクセイト-学研進学サイト-

ようこそゲストさん

  • 資料請求リスト
  • 会員登録
  • ログイン
最新情報
最新情報が表示されます。

▼効果的な受験勉強のコツは 自らの脳をコントロールすること 吉田たかよし先生インタビュー

吉田たかよし先生(本郷赤門前クリニック院長 医学博士)に、毎日の時間の使い方、集中のコツから、心の持ち方まで… 受験生が本当に知りたいことを教えていただきました。

『学研進学プラス2018春号 大学紹介号』にて掲載。(3/28発行 学研アソシエ)

午前中に難問に挑み、寝る前に暗記。脳のはたらき方を知って、効率良く

 受験勉強では時間の使い方が重要です。近年、生物には24時間周期のリズム、サーカディアンリズムが大切であることがわかってきました。だから、勉強も脳のサーカディアンリズムに合わせて行った方が得に決まっていますね。

 一番大事なのは朝から午前中の使い方です。この時間帯には、脳の中で人間ならではの高等な思考力を作り出す前頭前野の機能が最も高まります。しかし、前頭前野は午後には疲労して機能が低下し、夜にはさらに低下します。ですから、数学の難問など、高い思考力を使う勉強は、できるだけ早い時間に行った方が得です。


 一方で、単純な記憶には、1日で一番遅い時間が良い。なぜなら、私たちが覚えたと思っていることは、脳の奥の海馬という領域に仮置きされているだけで、放っておけば2週間以内で忘れる短期記憶に過ぎません。それが寝ている間に側頭葉の大脳新皮質に定着し、ずっと忘れない長期記憶に変換されるのです。寝る直前ほど記憶の効率が良いことがわかっています。脳の機能として特徴が少ない午後の時間は、英語や歴史などの総合問題に向いています。

 また、多くの受験生が勉強時間を増やせば良いと思っていますが、それは大きな間違いです。ある程度までは勉強時間が増えると成績も上がりますが、適正な勉強時間を超えると、ストレスで脳の機能が低下してしまいます。


 そこで大事なのは、勉強する時は思い切り勉強し、休息を取る時はしっかり休む、メリハリのある時間の使い方です。絶対にダラダラと勉強してはいけません。1時間ダラダラと勉強するなら、その1時間で思い切り運動した方が受験対策になるほどです。

 真っ先にするべきは、今、ダラダラしている隙間時間の利用です。電車の待ち時間、10分間休み、授業中でも、演習問題が早く解ければ、他の生徒を待つ間に休み時間が生じます。ほとんどの受験生は、受験の最終段階で隙間時間を使おうとしますが順番が逆。

 隙間時間を先に埋めてから、楽しい時間や部活動の時間を勉強時間に置き換えていくのです。夏の大会まで部活動に励んで受験も成功する人は、部活動をしながら隙間時間を徹底して使っていることが多いのです。


ルーティンとストップウォッチで、集中モードへの切り替えが得意に

 メリハリをつけるには集中モードへの切り替えが必要ですが、脳の機能から考えると「儀式」が大事です。ラグビーの五郎丸選手のようにアスリートが行うルーティンは切り替えの儀式です。頰を叩くのが最も効果的ですが、受験会場でもしやすいのが、右手でにぎりこぶしを作ることですね。今の時期から「集中する時はこのポーズをする」を繰り返しておくと、ぐっと力を入れたら集中モードに切り替わるように脳が学習します。


 集中力を身に付けるには、2つのストップウォッチを使う「ダブルストップウォッチ法」を勧めています。1つで勉強時間全体を管理します。例えば15分を1ブロックと考え、単位時間内にどれだけの勉強をできたか、常に単位時間あたりの勉強の量で評価してダラダラを防ぎます。ちなみに1時間を超えたら、脳を一旦休めた方が効率が上がります。そしてもう1つで、1問ごとの問題にかかった時間を計ります。この方法で入試の時、問題を解く前にその問題にどの程度時間がかかるかを掴む感覚が磨かれます。

 同じ学力ならこの感覚に優れた人が圧倒的に有利です。ただストップウォッチの代わりにスマートフォンを使ってはいけません。メールなどが気になり時計を見るだけでは済まなくなります。受験生は自分で決めた時間以外はスマホを見ないことが大事です。


大事なのは、自分の意思で自分をコントロールできる「自己管理能力」

 自信を持つには、初めから大きな目標を立てずに、自分の実力を直視して、確率7割でできる程度で立てるといいでしょう。いつも目標に到達せず、次もできないだろうと思うとやる気が湧かないので、自分ができるだろうと思える「自己効力感」を高める必要があります。7割なら、目標が達成できれば良いし、できなくても惜しいと思えるので自己効力感が高まるのです。

 受験に向かう1年間、常に順調な人はいません。例えば模試で悪い判定が出ても挫折しないためには、現実から目を背けずに要因をノートに具体的に書き出すなど、向き合った方が良い。脳は悪い事が起きた時、それを再発させないために落ち込む感情を脳の中に作り出し、わざと落ち込ませているのです。納得できる要因が見つかれば前に進めます。

 このように最も大事なのは、無理に勉強時間を増やすことではなく、自分の意思で自分をコントロールする自己管理能力なのです。


◆プロフィール
吉田たかよし(よしだ たかよし)
本郷赤門前クリニック院長
1964年、京都府生まれ。灘中学、灘高校、東京大学卒業、東京大学大学院を修了。NHKアナウンサー、医師免許取得、衆議院議員の公設第一秘書を務めるなど多彩な経歴を持つ。現在、本郷赤門前クリニックの院長として、受験生専用の心療内科クリニックを開設し「受験うつ」に悩む人の治療にあたる。